素材準備の重要性
ホームページ制作において、素材準備は成功の鍵です。制作会社に丸投げできると思いがちですが、実際には依頼者側が用意すべき素材が多数あります。
素材準備が不十分だと起こる問題
納期の遅延
制作途中で素材待ちが発生し、予定より1〜2ヶ月遅れることも珍しくありません。
追加費用の発生
原稿作成、写真撮影、素材探しを制作会社に依頼すると、別途費用がかかります。
品質の低下
急ごしらえの素材やフリー素材の多用で、オリジナリティに欠けるサイトになります。
コミュニケーションロス
「こんなはずじゃなかった」というミスマッチが発生しやすくなります。
素材をしっかり準備すると...
- 納期通りにスムーズに完成
- 追加費用を抑えられる
- 自社らしさが伝わる高品質なサイトに
- 制作会社とのやり取りが円滑
制作会社の立場から言うと、素材が揃っているクライアント様は納品までが早く、満足度も高い傾向にあります。事前準備が成功の8割を決めると言っても過言ではありません。
【必須】会社・事業の基本情報
まず最初に準備すべきは、会社や事業の基本情報です。これらはホームページのあらゆるページで使用されます。
必須の基本情報リスト
1. 会社情報(法人の場合)
- 会社名(正式名称・読み仮名)
- 代表者名
- 設立年月日
- 資本金
- 従業員数
- 事業内容
- 所在地(本社・支店)
- 電話番号・FAX番号
- メールアドレス
- 営業時間・定休日
- 許認可番号(必要な業種の場合)
- 主要取引先(掲載する場合)
- 加盟団体・協会(あれば)
2. 個人事業主・フリーランスの場合
- 屋号・サービス名
- 代表者名
- 事業内容
- 所在地(住所は番地まで書くか要検討)
- 連絡先(電話・メール)
- 営業時間・対応可能時間
- 資格・実績(あれば)
3. アクセス情報
- 最寄り駅・バス停
- 駅からの所要時間・アクセス方法
- 駐車場の有無・台数
- 目印となる建物・看板
- Googleマップ用の住所(正確なもの)
準備のコツ
- 名刺、パンフレット、会社案内があれば、それをそのまま制作会社に渡すとスムーズ
- Google My Businessに登録済みなら、そこに記載されている情報と統一する
- 電話番号は「問い合わせ専用番号」か「代表番号」かを明確に
【必須】写真・画像素材
ホームページの印象を大きく左右するのが写真・画像です。特に、オリジナルの写真を使うことで、他社との差別化ができます。
準備すべき写真の種類
優先度:高
1. 店舗・事務所の外観・内観
- 建物の外観(昼・夜の両方あるとベター)
- 入り口・看板
- 店内・オフィス内部の様子
- 待合室・応接室
- 設備・機器(専門性をアピールできるもの)
撮影のポイント:明るい時間帯に、整理整頓してから撮影。スマホでもOKですが、できればデジカメや一眼レフで高画質に。
2. スタッフ・代表者の写真
- 代表者のプロフィール写真
- スタッフの集合写真
- 個々のスタッフ写真(スタッフ紹介ページがある場合)
- 働いている様子(接客中、作業中など)
撮影のポイント:笑顔で、明るい表情を。背景はシンプルに。証明写真のような硬いイメージは避け、親しみやすい雰囲気を。
3. 商品・サービスの写真
- 主力商品・サービスの写真
- 製造過程・作業風景
- Before/After(リフォーム、美容室など)
- 実績・施工例
撮影のポイント:商品は複数のアングルから撮影。白い背景や自然光で撮ると綺麗に映ります。
優先度:中
4. 実績・事例の写真
- 過去のプロジェクト・案件の写真
- お客様との記念写真(許可を得たもの)
- イベント・展示会の様子
- メディア掲載時の写真
優先度:低(あれば尚良い)
5. その他の写真
- 地域の風景(大分の観光名所など、地域密着をアピール)
- 季節感のある写真(イベントページなどに使用)
- 社内イベント・懇親会の写真
写真素材の準備方法
方法1:自社で撮影する
メリット:コスト0円、自由に撮影できる
デメリット:クオリティにばらつき、素人っぽくなる可能性
おすすめ度:
方法2:プロのカメラマンに依頼する
メリット:高品質、ライティングや構図が完璧
デメリット:費用がかかる(3〜10万円)
おすすめ度:(予算があれば最もおすすめ)
方法3:フリー素材サイトを利用する
メリット:無料または安価、種類が豊富
デメリット:オリジナリティがない、他社と被る可能性
おすすめ度:(メインでは使わず、補助的に)
おすすめフリー素材サイト:写真AC、Pixabay、Unsplash、ぱくたそ
方法4:制作会社のカメラマン手配サービスを利用
多くの制作会社では、提携カメラマンの手配サービスがあります。別途費用はかかりますが、手配の手間が省けます。
写真素材の注意点
写真に関する注意事項
- 画像サイズ:できるだけ大きいサイズ(横幅1920px以上推奨)で用意。小さい画像は引き伸ばすとボケます
- ファイル形式:JPEG、PNG形式で保存。スマホで撮った写真はそのままでOK
- 著作権:他人が撮影した写真を無断使用しない。フリー素材も利用規約を確認
- 肖像権:人物が写っている場合、本人の許可を得る(スタッフ、お客様とも)
- 個人情報:顧客の顔や個人情報が映り込んでいないか確認
- 整理整頓:撮影前に、不要なものを片付ける。特に背景に注意
【必須】テキスト原稿
ホームページの「文章」は、制作会社が勝手に作れるものではありません。自社の魅力や強みは、あなた自身が一番よく知っているからです。
準備すべきテキスト原稿
1. トップページ用原稿
- キャッチコピー:一言で伝えるメッセージ(例:「大分で30年、地域密着の工務店」)
- 事業内容の概要:何をしている会社か、3〜5行で説明
- 強み・選ばれる理由:3〜5個、箇条書きでOK
- 代表挨拶:300〜500文字程度(任意)
例:キャッチコピー
「大分市で創業50年。3代続く老舗畳店」
「忙しいあなたに代わって、家事代行で快適な暮らしを」
2. サービス・商品紹介ページ用原稿
- サービス名・商品名
- 詳しい説明:各サービス・商品ごとに200〜500文字
- 特徴・メリット:箇条書き3〜5個
- 料金・価格:税込表示か税抜表示かを明記
- 対応エリア・納期:該当する場合
書き方のコツ:専門用語は避け、お客様目線で分かりやすく。「何ができるか」だけでなく、「お客様にとってのメリット」を書く。
3. 会社概要・事業内容ページ用原稿
- 企業理念・ビジョン:会社の想いや目指す方向性
- 沿革・歴史:創業からの主な出来事
- 代表者プロフィール:経歴、資格、想いなど
- スタッフ紹介:各スタッフの名前、役職、コメント
4. よくある質問(FAQ)
- お客様からよく聞かれる質問を10〜20個リストアップ
- それぞれに対する回答を100〜200文字で作成
例:FAQ
Q: 大分市外でも対応可能ですか?
A: はい、大分県内全域対応しております。ただし、一部地域では出張費をいただく場合がございます。
5. お知らせ・ブログの初期記事
- 公開時に掲載する記事を3〜5本用意
- 「ホームページを開設しました」「年末年始の営業案内」など
原稿作成のコツ
1. 完璧な文章でなくてOK
箇条書きやメモ書きでも構いません。制作会社が読みやすく整えてくれます。まずは「伝えたいこと」を書き出すことが大切です。
2. ターゲットを意識する
「誰に」「何を」伝えたいのかを明確に。専門用語は避け、お客様目線で書きましょう。
3. 競合サイトを参考にする
同業他社のホームページを見て、どんな情報を載せているか研究しましょう。ただし、丸写しは厳禁です。
4. 既存資料を活用する
会社案内パンフレット、名刺、提案書、営業資料などがあれば、それをベースに作成できます。
原稿作成の注意点
- 著作権:他社サイトや本からの無断転載は厳禁。必ず自分の言葉で書く
- 景品表示法:「日本一」「最高」など、根拠のない誇大表現は避ける
- 薬機法:健康食品、化粧品などは表現規制があるので注意
- 個人情報:顧客の実名や個人情報は、許可なく掲載しない
【必須】ロゴデータ
会社やサービスのロゴは、ホームページの顔です。適切な形式で用意しましょう。
ロゴデータの準備
必要なファイル形式
| 形式 | 用途 | 必要度 |
|---|---|---|
| AI(Illustrator) | 元データ。最も高品質で拡大縮小しても劣化しない | 最優先 |
| PNG(透過) | 背景が透明なので、どんな色の背景にも対応 | 必須 |
| JPEG | 一般的な画像形式。背景が白く残る | あれば尚良い |
| SVG | Web専用形式。拡大してもボケない | あれば最高 |
最低限:PNG形式の透過ロゴがあればOK。AIデータがあれば制作会社が各形式に変換できます。
ロゴのサイズ・解像度
- サイズ:横幅1000px以上推奨(大きければ大きいほど良い)
- 解像度:72dpi以上(Web用)、300dpi以上(印刷用も兼ねる場合)
- 色:カラー版、白抜き版、黒1色版の3パターンあると便利
ロゴの使用ルール
もしロゴの使用規定(レギュレーション)がある場合は、それも共有しましょう。
- 最小サイズの規定
- 余白(アイソレーション)の指定
- 使用禁止パターン
- ブランドカラーのカラーコード(例:#0066CC)
ロゴがない場合は?
ロゴがない場合、以下の選択肢があります。
- 制作会社にロゴデザインも依頼する(費用:3〜10万円)
- クラウドソーシングで依頼する(費用:1〜3万円)
- 社名のテキストだけで進める(ロゴなし、フォントで表現)
おすすめ:予算があるなら、ホームページ制作と同時にロゴも作成すると、統一感が出ます。
【推奨】参考サイト・イメージ
「こんな感じのサイトにしたい」というイメージを、言葉だけで伝えるのは難しいです。参考サイトを共有すると、制作会社とのイメージ共有がスムーズになります。
参考サイトの選び方
1. 同業種のサイトを3〜5個ピックアップ
競合他社や、同じ業界の優れたサイトを探します。「〇〇業 ホームページ おしゃれ」などで検索。
2. デザインが気に入ったサイトを選ぶ
業種は関係なく、「このデザインが好き」「この雰囲気がいい」というサイトを探します。
3. 具体的に「どこが良いか」を伝える
単にURLを送るだけでなく、
- 「この色使いが好き」
- 「このメニューの配置が分かりやすい」
- 「トップページのスライダーが良い」
のように、具体的にどこが気に入ったかを伝えると、さらに良いです。
4. 「これは避けたい」も伝える
「こういうデザインは好みじゃない」という逆パターンも共有すると、ミスマッチを防げます。
デザインイメージの言語化
参考サイトがなくても、以下のようなキーワードでイメージを伝えるのも有効です。
デザインのキーワード例
雰囲気
- シンプル / モダン
- 高級感 / ラグジュアリー
- 親しみやすい / カジュアル
- クール / スタイリッシュ
- 温かい / ナチュラル
色
- 白ベース / 明るい
- 黒ベース / ダーク
- 青系 / 緑系 / オレンジ系
- パステルカラー
- コーポレートカラーを使いたい
レイアウト
- 1カラム(縦長1列)
- 2カラム(サイドバーあり)
- グリッドレイアウト(タイル状)
- フルスクリーン(画面いっぱい)
【オプション】動画・その他素材
以下は必須ではありませんが、あるとよりリッチなホームページになります。
1. 動画素材
- 会社紹介動画(1〜3分)
- 商品・サービス紹介動画
- 製造過程・作業風景の動画
- お客様の声(インタビュー動画)
形式:MP4形式推奨。YouTubeにアップロード済みなら、URLを伝えるだけでOK。
2. PDFカタログ・資料
- 商品カタログ
- 会社案内パンフレット
- 料金表
ダウンロード資料として掲載できます。
3. 受賞歴・メディア掲載の証明
- 受賞証明書のスキャン画像
- 新聞・雑誌掲載記事のコピー
- テレビ出演時のキャプチャ画像
4. お客様の声・レビュー
- アンケート結果
- お客様からのお礼の手紙・メール
- Googleレビュー、食べログなどの評価
掲載する際は、必ず本人の許可を得ましょう。
5. SNSアカウント情報
- Facebook、Instagram、X(Twitter)のURL
- LINE公式アカウント
- YouTubeチャンネル
ホームページにSNSリンクを設置できます。
素材準備のスケジュールとコツ
素材準備は、ホームページ制作開始の1〜2週間前には完了させるのが理想です。
理想的なスケジュール
必要素材のリストアップ
この記事のチェックリストを使って、何が必要か確認
写真撮影・原稿作成
スタッフ総出で写真撮影。原稿はまず箇条書きでOK
素材の最終確認・整理
フォルダに整理し、ファイル名を分かりやすく変更
制作会社に素材を送付
Googleドライブやギガファイル便で共有
素材準備を効率化するコツ
1. 社内で役割分担する
一人で全部やろうとせず、チームで分担しましょう。
- 写真撮影 → 総務部
- 原稿作成 → 営業部(お客様の声を知っている)
- 会社情報 → 人事部
2. フォルダで整理する
素材をカテゴリ別にフォルダ分けすると、制作会社が使いやすいです。
ホームページ素材/
├── 01_会社情報/
├── 02_写真(店舗)/
├── 03_写真(スタッフ)/
├── 04_写真(商品)/
├── 05_ロゴ/
└── 06_原稿/
3. ファイル名を分かりやすく
「IMG_1234.jpg」ではなく、「店舗外観_昼.jpg」のように、内容が分かる名前にしましょう。
4. クラウドストレージを活用
大量の写真はメールでは送れません。Googleドライブ、Dropbox、OneDriveなどで共有しましょう。
準備チェックリスト
最後に、準備状況を確認できるチェックリストを用意しました。印刷して使ってください。
ホームページ制作 素材準備チェックリスト
基本情報
- 会社名・屋号
- 代表者名
- 所在地・アクセス情報
- 電話番号・メールアドレス
- 営業時間・定休日
- 事業内容
写真素材
- 店舗・事務所の外観
- 店舗・事務所の内観
- 代表者・スタッフの写真
- 商品・サービスの写真
- 実績・施工例の写真
テキスト原稿
- キャッチコピー
- 事業内容の説明
- サービス・商品の説明
- 会社概要・沿革
- 代表者プロフィール
- よくある質問(FAQ)
ロゴ・デザイン
- ロゴデータ(PNG透過、またはAI形式)
- ブランドカラーの指定(あれば)
- 参考サイト3〜5個
- デザインイメージの言語化
オプション素材(あれば)
- 動画素材
- PDFカタログ・資料
- 受賞歴・メディア掲載の証明
- お客様の声・レビュー
- SNSアカウント情報
このチェックリストはPDF形式でもご提供可能です。
お問い合わせいただければ、編集可能なExcel版もお送りします。
まとめ
ホームページ制作の成功は、素材準備で8割決まると言っても過言ではありません。この記事で紹介した素材を事前にしっかり準備することで、スムーズな制作進行と、満足度の高いホームページが実現します。
本記事のポイント
- 基本情報:会社情報、連絡先、営業時間など
- 写真:オリジナルの写真を用意することで差別化。プロに依頼するのが理想
- 原稿:完璧でなくてOK。箇条書きでも構わないので、伝えたいことを書き出す
- ロゴ:PNG透過形式、またはAIデータがあれば完璧
- 参考サイト:イメージ共有のために3〜5個ピックアップ
- スケジュール:制作開始の1〜2週間前には準備完了を目指す
次のステップ
- この記事のチェックリストを印刷する
- 社内で役割分担を決める
- 写真撮影の日程を決める
- 原稿の下書きを始める
- 制作会社に見積もり依頼する