ブランディングのよくある間違い7選|失敗しないための正しい進め方

ブランディングでよくある7つの間違いと正しい進め方を解説。ロゴ・デザインの過信、社内浸透の軽視、効果測定の欠如など、失敗を防ぐためのポイントを紹介します。

「ブランディングすれば売上が上がる」「ロゴを変えればブランドが変わる」「テレビCMを打てばブランドができる」―こうした考えは、実はブランディングにおける典型的な誤解です。多くの企業がブランディングに取り組みながら成果が出ない理由は、そもそもブランディングの本質を誤解していることにあります。本記事では、ブランディングでよくある間違いとその対策を徹底解説します。

ブランディングの7大誤解

誤解1:ブランディングすれば売上が上がる

最も危険な誤解

「ブランディングをすれば売上が上がる」「業績が回復する」という期待は、ブランディング最大の誤解です。ブランディングは魔法の杖ではありません。

売上を上げるのは、あくまで「便益(ベネフィット)と独自性を持った商品・サービス」です。ブランディングは、その便益と独自性を顧客に正しく伝え、想起してもらうための活動に過ぎません。

間違った考え方

ブランディング → 売上アップ

正しい考え方

優れた商品・サービス + ブランディング → 認知・想起 → 売上アップ

誤解2:ロゴやデザインを変えればブランドが変わる

ロゴやWebサイトのデザインを一新しただけで「リブランディング完了」と考える企業は少なくありません。しかし、デザインはブランドの一部に過ぎません

ブランドは以下の要素で構成されています:

  • 商品・サービスの品質と独自性
  • 顧客体験(CX)
  • 従業員の行動・態度
  • コミュニケーション(広告、SNS、接客)
  • ビジュアルアイデンティティ(ロゴ、色、フォント)← これはごく一部

デザイン変更だけでは不十分な理由

ロゴを変えても、商品の品質が変わらなければ、顧客の認識は変わりません。見た目より中身。デザインは、中身の変化を表現するためのものです。

誤解3:有名タレントを起用すればブランド力が上がる

著名人を広告に起用することで認知度は上がりますが、それが必ずしもブランド価値の向上につながるわけではありません。

タレント起用のリスク

  • タレントのイメージに依存してしまう
  • タレントの不祥事でブランドイメージが低下
  • 商品より人が印象に残る(商品の便益が伝わらない)
  • 高額なコストに見合う効果が得られない場合も

誤解4:ブランディングは大企業しかできない

「ブランディングには莫大な投資が必要」「中小企業には無理」という認識も誤解です。むしろ、中小企業こそブランディングが重要です。

大企業と価格で勝負しても勝てません。しかし、独自の価値や専門性で差別化することは可能です。地域密着型のブランディング、ニッチ市場でのポジショニングなど、中小企業ならではのブランディング戦略があります。

誤解5:ブランディングは効果測定ができない

「ブランディングは曖昧で効果が測れない」という声もよく聞きます。確かに、売上のように直接的な数字で測りにくい面はありますが、測定は可能です。

ブランディングの効果測定指標

  • 認知度:純粋想起率、助成想起率
  • ブランドイメージ:イメージ調査、NPS(推奨度)
  • 行動指標:指名検索数、SNSフォロワー数、エンゲージメント率
  • 財務指標:リピート率、顧客単価、顧客生涯価値(LTV)

誤解6:ブランディング=広告・宣伝

ブランディングを「広告を打つこと」「宣伝活動」と同義に捉えている方もいますが、これは大きな誤解です。

広告・宣伝は認知を獲得する手段の一つであり、ブランディングの一部に過ぎません。ブランディングの本質は、顧客の頭の中に「選ばれる理由」を築くことです。

広告・宣伝

認知を獲得する活動。一時的な効果が多い。

ブランディング

顧客の認識を構築する活動。長期的な資産になる。

誤解7:一度ブランドを作れば終わり

ブランディングは「一度やれば終わり」ではありません。市場環境、競合、顧客ニーズは常に変化しています。継続的なブランド管理が必要です。

  • 定期的なブランド調査・見直し
  • 一貫したコミュニケーションの維持
  • 社員へのブランド教育
  • 時代に合わせたアップデート

ブランディングが失敗する5つの原因

原因1:ブランドコアが不明確

「自社は何者で、何のために存在するのか」が明確でないと、ブランディングは迷走します。ブランドの存在意義(パーパス)を定義することが出発点です。

原因2:社内浸透の不徹底

素晴らしいブランドコンセプトを作っても、社員に浸透していなければ意味がありません。インナーブランディングの欠如は、よくある失敗原因です。

原因3:一貫性の欠如

メッセージがコロコロ変わる、部門によって言っていることが違う、Webサイトと実際のサービスが違う―こうした一貫性のなさは、ブランドの信頼を損ないます。

原因4:顧客視点の欠如

自社が「こう見られたい」という願望だけで進めると失敗します。顧客が何を求めているかどう認識しているかを起点にすることが重要です。

原因5:短期的な成果を求めすぎる

ブランディングは長期的な取り組みです。3ヶ月、半年で目に見える成果が出ないからといって方針を変えるのは早計です。最低でも2〜3年のスパンで考えましょう。

正しいブランディングの進め方

ステップ1:現状分析

まずは現状を正しく把握します。

  • 顧客調査(ブランドイメージ、満足度、不満点)
  • 競合分析(ポジショニング、差別化要素)
  • 自社分析(強み、弱み、独自性)

ステップ2:ブランドコアの定義

以下の要素を明確にします。

  • パーパス:なぜ存在するのか
  • ビジョン:どこを目指すのか
  • バリュー:何を大切にするのか
  • ブランドプロミス:顧客に何を約束するのか

ステップ3:ブランド表現の設計

ブランドコアを表現する要素を設計します。

  • ビジュアルアイデンティティ(ロゴ、カラー、フォント)
  • トーン&マナー(言葉遣い、コミュニケーションスタイル)
  • ブランドストーリー

ステップ4:社内浸透

全社員がブランドを理解し、体現できるようにします。

ステップ5:顧客接点への展開

Webサイト、広告、店舗、接客など、すべての顧客接点でブランドを一貫して表現します。

ステップ6:継続的な改善

定期的にブランド調査を行い、改善を続けます。

よくある質問(FAQ)

Q. ブランディングにはどれくらいの期間がかかりますか?

A. 効果が実感できるまで最低2〜3年はかかると考えてください。認知の変化は徐々に起こるものであり、短期的な成果を求めるのは危険です。

Q. 小さな会社でもブランディングは必要ですか?

A. むしろ必要です。大企業と価格で勝負しても勝てないからこそ、独自の価値で差別化することが重要です。ニッチ市場でのブランディングは中小企業の強みになります。

Q. ブランディングと広告の違いは何ですか?

A. 広告は認知を獲得する「手段」、ブランディングは認識を構築する「活動全体」です。広告はブランディングの一部に過ぎません。

まとめ

ブランディングの成功には、まず「誤解」を解くことから始める必要があります。ブランディングは魔法の杖ではなく、地道な活動の積み重ねです。

この記事のポイント

  • ブランディング≠売上アップの魔法。便益と独自性が前提
  • ロゴ変更だけではブランドは変わらない
  • 中小企業こそブランディングが重要
  • 効果測定は可能。適切な指標を設定する
  • ブランディングは継続的な活動。一度で終わりではない

本記事を参考に、正しいブランディングの考え方を身につけ、実践に活かしてください。


参考文献・ブランディング資料

  • 経済産業省・中小企業庁「中小企業のブランド戦略」(中小企業におけるブランディングの重要性・方法論)
    https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/index.html
  • Harvard Business Review「The Value of Brand Equity」(ブランド価値・效果测定に関する研究)
    https://hbr.org/
  • 日本ブランド戦略研究所「ブランド戦略・ブランド管理の基籠」(日本におけるブランディング研究)
    https://www.j-brandstrategy.com/
  • Philip Kotler「Marketing Management」(マーケティング・ブランディングの古典的揗籍)
  • David Aaker「Building Strong Brands」(ブランド構築・ブランドエクイティに関する研究)
  • Net Promoter Network「NPS(顧客追奔度)の测定方法」
    https://www.netpromoter.com/
  • 中小企業基盤整備機構「中小企業のブランド戦略支援」(中小企業向けブランディング支援情報)
    https://www.smrj.go.jp/
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