ランディングページ(LP)は、広告やSNSからの流入を受け止め、購入・申し込み・問い合わせなどの具体的な行動(コンバージョン)を促すための専用ページです。通常のWebサイトとは異なり、「1つの目的」に特化した設計が特徴です。
しかし、ただLPを作るだけでは成果は出ません。デザインと構成によって、コンバージョン率は大きく変わります。本記事では、コンバージョン率を最大化するために押さえるべき3つの重要な要素を、実例とともに詳しく解説します。
ランディングページとは?通常ページとの違い
まず、ランディングページの特徴を理解しましょう。
ランディングページの特徴
| 項目 | 通常のWebページ | ランディングページ |
|---|---|---|
| 目的 | 情報提供、複数の目的 | 1つのコンバージョンに特化 |
| 構成 | ヘッダー、ナビ、複数ページ | 縦長の1ページ完結 |
| リンク | 多数の外部リンク | 最小限(離脱を防ぐ) |
| デザイン | ブランドイメージ重視 | コンバージョン重視 |
LPが必要な理由
広告からトップページに誘導すると、ユーザーは「どこをクリックすればいいか」迷い、多くが離脱します。LPは、迷わせず、一直線にコンバージョンへ導くための設計です。
調査によると、専用LPを用意することで、コンバージョン率が2〜5倍向上するケースが多数報告されています(Unbounce Landing Page Benchmark Report)。
要素1:魅力的なファーストビュー
ファーストビューとは、ページを開いて最初に目に入る画面のことです。ユーザーは平均3秒で「このページを読むか離脱するか」を判断すると言われています。
ファーストビューで伝えるべき4つの情報
1. キャッチコピー(ヘッドライン)
最も重要な要素です。誰に、何を、どんな価値を提供するかを一目で伝えます。
❌ 悪い例:「当社のサービスをご利用ください」
✅ 良い例:「大分の中小企業専門|月5万円からのSEO対策で検索1位を実現」
効果的なキャッチコピーの要素:
- 具体的な数字:「3ヶ月で売上2倍」「導入実績200社」
- ターゲットの明確化:「大分の中小企業専門」「初心者向け」
- ベネフィット:「検索1位を実現」「集客の悩みを解決」
- 独自性:「業界唯一」「大分県内シェアNo.1」
2. サブキャッチコピー
メインキャッチコピーを補足し、より詳しい情報を伝えます。
例:「初期費用0円・月額5万円〜|SEO・広告運用・Web制作をワンストップで提供」
3. ビジュアル(メイン画像・動画)
テキストだけでなく、視覚的にも価値を伝えることが重要です。
効果的なビジュアルの種類:
- 商品・サービスの使用シーン:実際に使っているイメージ
- ビフォーアフター:成果を視覚的に証明
- 顧客の笑顔:安心感と信頼性を演出
- データのグラフ:実績を視覚的に
4. CTA(Call To Action)ボタン
ファーストビューに必ず行動を促すボタンを配置します。スクロールしなくても見える位置に。
効果的なCTAボタンの例:
- 「無料相談に申し込む」(具体的な行動)
- 「今すぐ資料請求」(緊急性)
- 「30秒で無料診断」(手軽さ)
❌ 避けるべき:「こちら」「詳細」「送信」(何が起こるか不明確)
ファーストビューのデザインパターン
パターンA:左右2カラム型
- 左:キャッチコピー + 説明 + CTAボタン
- 右:メイン画像
- 特徴:バランスが良く、BtoB向けに最適
パターンB:センター集中型
- 中央:大きなキャッチコピー + CTAボタン
- 背景:全画面の背景画像
- 特徴:インパクトが強い、BtoC向け
パターンC:動画埋め込み型
- メインビジュアルに動画を配置
- 特徴:サービス内容を動的に説明できる
ファーストビューのA/Bテスト事例
実際の改善事例を紹介します。
事例:オンライン英会話サービス
- 変更前:「英会話を始めよう」(CVR: 2.3%)
- 変更後:「3ヶ月で日常会話をマスター|無料体験レッスン実施中」(CVR: 4.1%)
- 結果:CVRが78%向上
変更点:具体的な期間と成果、無料体験の明記
要素2:明確で目立つCTA(行動喚起)
CTA(Call To Action)は、ユーザーに具体的な行動を促す要素です。LPの最終目的であり、最も重要な要素の一つです。
効果的なCTAボタンの設計
1. 色とサイズ
CTAボタンは、ページ内で最も目立つ色にします。
- 推奨色:オレンジ、赤、緑(行動を促す色)
- 避ける色:黒、グレー(目立たない)
- サイズ:PCで横300px以上、スマホで横幅の80%程度
- 余白:周囲に十分な余白を取り、他の要素と分離
A/Bテストの事例では、緑色のボタンがオレンジ色より21%高いCVRを記録したケースがあります(VWO Case Study)。ただし、サイトのデザインによって最適な色は異なるため、必ずテストしましょう。
2. ボタンのテキスト
ボタンのテキストは、具体的で行動がイメージできる表現にします。
✅ 効果的な表現:
- 「今すぐ無料で始める」(即時性 + 無料 + 行動)
- 「30秒で無料診断スタート」(手軽さ + 無料)
- 「資料をダウンロードする」(具体的な行動)
- 「無料相談を予約する」(具体的な行動 + 無料)
❌ 避けるべき表現:
- 「送信」「こちら」(何が起こるか不明)
- 「登録」(義務感を与える)
- 「購入」(ハードルが高い)
3. ボタンの配置
CTAボタンは、複数箇所に配置します。
推奨の配置場所:
- ファーストビュー:必須
- メリット説明の後:価値を理解した直後
- お客様の声の後:信頼感が高まった直後
- 料金表の後:具体的な費用を確認した直後
- ページ最下部:最後の後押し
一般的に、スクロール1〜2画面ごとに1つ配置するのが目安です。
4. マイクロコピー
CTAボタンの近くに、不安を解消する短いテキストを配置します。
例:
- 「※クレジットカード登録不要」
- 「※個人情報は厳重に管理します」
- 「※営業電話は一切ありません」
- 「※30日間返金保証付き」
これらのマイクロコピーで、CVRが10〜30%向上するケースが報告されています。
入力フォームの最適化
CTAボタンの先にある入力フォームも、CVRに大きく影響します。
フォームの項目数を最小限に
項目が1つ増えるごとに、離脱率が上がります。Formstackの調査では、フォーム項目を11個から4個に減らしたところ、CVRが120%向上しました。
必要最小限の項目:
- 氏名(姓名を分けない方が良い)
- メールアドレス
- 問い合わせ内容
電話番号や会社名は、後から聞ける情報は必須にしないのがコツです。
エラー表示をリアルタイムに
入力エラーは、送信ボタンを押した後ではなく、入力中にリアルタイムで表示します。ユーザーのストレスが減り、CVRが向上します。
入力例を示す
プレースホルダーで入力例を示すと、ユーザーが迷いません。
例:
- 氏名:「山田 太郎」
- 電話番号:「090-1234-5678」
- メールアドレス:「example@example.com」
要素3:信頼性の証明(Social Proof)
オンラインでは、「この会社は信頼できるのか?」という不安が常につきまといます。この不安を解消することが、CVR向上の鍵です。
信頼性を証明する8つの要素
1. お客様の声(導入事例)
最も効果的な信頼性の証明です。実在の人物の写真と実名があると、信頼度が大幅に上がります。
効果的なお客様の声の要素:
- 顔写真:実在性を証明
- 実名・会社名:匿名より信頼度が高い
- 具体的な数字:「売上が2倍」「アクセスが3倍」
- Before/After:導入前の課題と導入後の変化
- 複数人:最低3〜5人分を掲載
❌ 避けるべき:
- フリー素材の人物写真(信頼性ゼロ)
- 「とても良かったです」などの抽象的な感想
- 1人だけの声(偏りがあると思われる)
2. 導入実績・数字
具体的な数字で実績を示します。
例:
- 「導入企業200社突破」
- 「累計販売数10万個」
- 「顧客満足度96%」
- 「継続率98%」
3. メディア掲載実績
テレビ、新聞、雑誌、Webメディアなどに掲載された実績があれば、ロゴとともに掲載します。
例:「日経新聞」「NHK」「Yahoo!ニュース」など
4. 受賞歴・認定
業界団体からの認定、コンテストでの受賞などがあれば掲載します。
例:
- 「Google Partner認定企業」
- 「〇〇アワード2024 最優秀賞」
- 「ISO9001認証取得」
5. 専門家の推薦
業界の専門家や有識者からの推薦コメントは、高い信頼性があります。
例:「〇〇大学 △△教授 推薦」
6. 実績データ・グラフ
数字をグラフで視覚化すると、より説得力が増します。
例:
- 導入前後の売上グラフ
- 月間利用者数の推移
- 顧客満足度の円グラフ
7. 保証・返金制度
「満足できなければ全額返金」などの保証があると、購入のハードルが下がります。
例:
- 「30日間返金保証」
- 「効果がなければ全額返金」
- 「初月無料トライアル」
8. セキュリティ・個人情報保護
特にBtoCのECサイトでは、セキュリティの明示が重要です。
例:
- 「SSL暗号化通信」のアイコン
- 「プライバシーマーク取得」
- 「クレジットカード情報は保存しません」
信頼性要素の配置場所
信頼性の証明は、ページの複数箇所に散りばめるのが効果的です。
- ファーストビュー下:実績数字やメディア掲載ロゴ
- 中盤:お客様の声・導入事例(3〜5件)
- 料金説明の前:価格に納得してもらうため
- CTA手前:最後の後押し
その他の重要な要素
4. ベネフィットの明確化
機能(Feature)ではなく、ベネフィット(利益)を訴求します。
❌ 機能:「SEO対策サービスを提供します」
✅ ベネフィット:「検索1位を獲得し、問い合わせが3倍になります」
ユーザーが知りたいのは「それを使うと、自分にどんな良いことがあるか」です。
5. 緊急性・希少性の演出
「今すぐ行動する理由」を提示すると、CVRが向上します。
例:
- 「期間限定:12月末まで初期費用無料」
- 「先着30名様限定」
- 「残り3枠」
- 「本日23:59まで」
6. FAQ(よくある質問)
ユーザーの疑問や不安を事前に解消します。
掲載すべきFAQの例:
- 「料金は月額固定ですか?」
- 「契約期間の縛りはありますか?」
- 「解約は簡単にできますか?」
- 「サポート体制は?」
- 「初心者でも使えますか?」
7. 比較表
他社との違いや、プランの違いを表で比較します。
特に「自社 vs 競合」の比較表は効果的ですが、事実に基づいた内容にしましょう。
LPのデザイントレンド2025
トレンド1:シンプル&ミニマル
情報過多ではなく、必要な情報だけをシンプルに伝えるデザインが主流です。
- 余白を十分に取る
- 配色は3色以内
- フォントは2〜3種類まで
トレンド2:動画の活用
サービス内容を30秒〜1分の動画で説明するLPが増えています。テキストより直感的に理解でき、滞在時間も延びます。
トレンド3:インタラクティブ要素
診断コンテンツ、スライダー、アニメーションなど、ユーザーが操作できる要素を取り入れることで、エンゲージメントが向上します。
例:「あなたに最適なプランを診断」「料金シミュレーター」
トレンド4:ダークモード
黒背景に白文字のダークモードも、特にIT系サービスで人気です。スタイリッシュで目に優しい印象を与えます。
LPのコンバージョン率の目安
業界によって大きく異なりますが、一般的な目安は以下の通りです:
| 業界 | 平均CVR |
|---|---|
| BtoB | 2〜5% |
| EC(物販) | 1〜3% |
| 教育・スクール | 3〜7% |
| 不動産 | 2〜5% |
| 医療・美容 | 3〜8% |
出典:Unbounce Conversion Benchmark Report
CVRが1%未満の場合は、改善の余地が大きいと言えます。
LPのA/Bテストで改善する
LPは作って終わりではありません。継続的にテストして改善することが重要です。
A/Bテストの進め方
- 仮説を立てる:「キャッチコピーを変えればCVRが上がるのでは?」
- パターンを作る:A案とB案を用意
- 同時に運用:トラフィックを50%ずつ振り分け
- 結果を測定:最低2週間〜1ヶ月運用
- 勝者を採用:CVRが高い方を本採用
- 次のテストへ:別の要素をテスト
テストすべき優先順位
すべてを一度にテストするのではなく、影響が大きい要素から順にテストします。
- キャッチコピー:最もCVRに影響
- CTAボタンの色・文言:次に影響が大きい
- メイン画像:視覚的な第一印象
- お客様の声の数・配置:信頼性に影響
- フォームの項目数:離脱率に影響
- 価格表示の方法:購入のハードルに影響
A/Bテストツール
専用ツールを使うと、簡単にA/Bテストができます:
- Google Optimize(無料、2023年9月終了予定)
- VWO(有料、高機能)
- Optimizely(有料、エンタープライズ向け)
- Unbounce(LP作成+A/Bテスト)
まとめ:コンバージョン率を高める3つの要素
本記事では、ランディングページで重要な3つの要素を詳しく解説しました:
- 魅力的なファーストビュー:3秒で価値を伝える
- 具体的なキャッチコピー
- ビジュアルで価値を表現
- 目立つCTAボタン
- 明確なCTA:迷わせず、行動を促す
- 目立つ色とサイズ
- 具体的な行動を示すテキスト
- 複数箇所に配置
- マイクロコピーで不安解消
- 信頼性の証明:不安を解消し、背中を押す
- お客様の声(顔写真・実名)
- 導入実績・数字
- メディア掲載
- 保証・返金制度
これらの要素を押さえ、継続的にA/Bテストで改善することで、CVRは確実に向上します。
参考リンク・ツール
LP作成ツール
参考情報
- Unbounce Landing Page Benchmark Report
- VWO Blog - A/Bテスト事例
- Nielsen Norman Group - UX研究
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