「ホームページを作りたいけれど、デザインスキルがない」「制作費用を抑えたい」——このような悩みを持つ方に最適なのが、テンプレート(雛形)の活用です。
テンプレートとは、プロのデザイナーが作成したデザイン済みの雛形のこと。HTML/CSS、WordPress、各種Webサイトビルダー用など、様々な形式のテンプレートが、無料・有料で数多く提供されています。適切なテンプレートを選んでカスタマイズすれば、短期間で高品質なホームページを作ることができます。
本記事では、Web制作のプロフェッショナルである余日(yojitsu)の山田 蓮が、ホームページ制作テンプレートの活用方法を徹底解説。無料・有料のテンプレート配布サイト8選、カスタマイズ方法、業種別おすすめテンプレート、そして注意点まで、実践的な情報をお届けします。
1. テンプレートを使うメリット・デメリット
まずは、テンプレートを使用するメリットとデメリットを理解しておきましょう。
1-1. メリット
テンプレート活用の主なメリット
- コスト削減:無料〜数千円で高品質なデザインが手に入る
- 時間短縮:ゼロから作るより圧倒的に速い
- プロのデザイン:デザインスキルがなくてもプロ並みの仕上がり
- レスポンシブ対応:多くがスマホ対応済み
- SEO最適化:基本的なSEO対策が施されている
- 豊富な選択肢:業種・目的別に多様なデザイン
- 更新のしやすさ:構造が整理されており、更新しやすい
- サポート:有料版はサポートやアップデートがある
1-2. デメリット
テンプレート活用の主なデメリット
- 独自性の欠如:他社と似たデザインになる可能性がある
- カスタマイズ制限:大幅な変更には技術知識が必要
- 不要な機能:使わない機能も含まれている場合がある
- ライセンス制約:利用規約で使用制限がある場合も
- ブランド表示:無料版は制作者のクレジット表示が必須の場合も
- サポート制限:無料版はサポートが限定的
- 更新停止リスク:テンプレートの開発が終了する可能性
2. 無料テンプレート配布サイト5選
まずは、無料で高品質なテンプレートを入手できるサイトを紹介します。
1. WordPress公式テーマディレクトリ
WordPress用 完全無料 審査済み概要
WordPressの公式が提供する無料テーマ(テンプレート)のディレクトリ。10,000以上のテーマが無料で利用できます。
特徴
- 品質保証:すべて厳しい審査を通過したテーマ
- 安全性:セキュリティチェック済み
- 完全無料:商用利用も可能
- WordPress管理画面から直接インストール可能
- 定期的にアップデート:多くのテーマが継続的に更新される
おすすめテーマ
- Twenty Twenty-Four:WordPressの最新デフォルトテーマ、フルサイト編集対応
- Astra:軽量・高速、カスタマイズしやすい
- GeneratePress:シンプルで高速、開発者に人気
- OceanWP:多機能、ECサイトにも対応
- 完全無料で安全
- 選択肢が豊富
- 簡単にインストール
- コミュニティサポート
- 高度なカスタマイズには知識必要
- 有料版ほど機能が豊富でない
- サポートは限定的
2. HTML5 UP
HTML/CSS 完全無料 モダンデザイン概要
モダンで美しいHTML5/CSS3のテンプレートを完全無料で提供するサイト。個人のデザイナーが運営しています。
特徴
- 洗練されたデザイン:現代的でスタイリッシュ
- レスポンシブ:すべてスマホ対応
- 完全無料:商用利用も可能(クレジット表記推奨)
- カスタマイズ可能:HTMLとCSSを編集できる
- 軽量:シンプルな構造で表示が速い
おすすめテンプレート
- Paradigm Shift:モダンで動きのあるデザイン
- Massively:写真を大きく見せるデザイン
- Stellar:1ページ完結型、スクロールエフェクト
- デザインが洗練されている
- 完全無料
- 軽量で高速
- 自由にカスタマイズ可能
- HTML/CSSの知識が必要
- テンプレート数が少ない
- CMSではない
- サポートなし
3. Colorlib
HTML/CSS WordPress 豊富概要
HTML/CSSとWordPressの無料テンプレートを多数提供するサイト。業種別にカテゴリー分けされており、探しやすいのが特徴です。
特徴
- 豊富な種類:1,000以上のテンプレート
- 業種別分類:コーポレート、飲食、美容など
- 無料・有料:無料版と有料版がある
- レスポンシブ:すべてスマホ対応
- 定期更新:新しいテンプレートが随時追加
カテゴリー例
- ビジネス・コーポレート
- ポートフォリオ
- ECサイト
- 飲食店・レストラン
- 美容・サロン
- ブログ・マガジン
- 選択肢が非常に豊富
- 業種別で探しやすい
- デモが見やすい
- 定期的に新作追加
- 品質にばらつきがある
- サポートは有料版のみ
- 広告が多い
4. TemplateMonster(無料版)
多様な形式 高品質 一部無料概要
主に有料テンプレートを販売するサイトですが、無料のテンプレートも提供しています。品質が高いのが特徴です。
特徴
- プロ品質:デザイナーが作成した高品質テンプレート
- 多様な形式:HTML、WordPress、Shopify、Joomlaなど
- 一部無料:無料版も提供(機能制限あり)
- デモサイト:実際の動作を確認できる
- デザイン品質が高い
- 様々な形式に対応
- デモが充実
- 無料版は数が少ない
- 本格利用には有料版推奨
- 英語サイト
5. Bootstrap Made
Bootstrap 無料 開発者向け概要
人気のCSSフレームワーク「Bootstrap」を使ったテンプレートを無料で提供するサイト。
特徴
- Bootstrap使用:カスタマイズしやすい
- レスポンシブ:標準でスマホ対応
- 無料:商用利用も可能
- 開発者フレンドリー:コードが整理されている
- カスタマイズしやすい
- 開発者に人気
- 完全無料
- コードが綺麗
- HTML/CSSの知識必須
- デザインがシンプル寄り
- サポートなし
3. 有料テンプレート販売サイト3選
より高品質でサポートも充実した有料テンプレートを購入できるサイトを紹介します。
6. ThemeForest(Envato Market)
世界最大級 高品質 サポート充実概要
世界最大級のテンプレート販売サイト。60,000以上のWordPressテーマ、HTMLテンプレートが販売されています。
特徴
- 圧倒的な品揃え:あらゆる業種・目的のテンプレート
- プロ品質:デザイン・機能ともに高品質
- サポート付き:制作者のサポートが受けられる
- 定期更新:継続的なアップデート
- 評価システム:レビューで品質を確認できる
料金
- WordPressテーマ:$30〜$100(約4,500円〜15,000円)
- HTMLテンプレート:$10〜$50(約1,500円〜7,500円)
- ※買い切り、複数サイトで使えるライセンスも有
人気テーマ
- Avada:世界で最も売れているWordPressテーマ、オールインワン
- BeTheme:600以上のデモサイト、あらゆる業種に対応
- Divi:ビジュアルページビルダー付き、使いやすい
- 選択肢が非常に豊富
- 品質が保証されている
- サポートが受けられる
- 定期的にアップデート
- レビューで選びやすい
- 有料(買い切り)
- 英語サイト
- 選択肢が多すぎて迷う
- 返品不可
7. TCD(日本製)
日本製 WordPress 業種特化概要
日本の企業が開発する日本人向けWordPressテーマ。業種に特化した高品質なデザインが特徴です。
特徴
- 日本製:日本のビジネス慣習に最適化
- 業種特化:業種ごとに最適化されたテーマ
- 美しいデザイン:洗練された和風デザイン
- 日本語サポート:安心の日本語サポート
- SEO最適化:日本の検索エンジンに最適化
料金
- テーマ価格:12,980円〜39,800円
- ※買い切り、1テーマ1サイト
人気テーマ
- SOLARIS:コーポレートサイト向け、シンプルで洗練
- BLOOM:美容・エステサロン向け、エレガント
- GENSEN:ポータル・検索サイト向け、高機能
- FAMOUS:飲食店向け、写真が映える
- 日本人向けデザイン
- 業種に最適化
- 日本語サポート充実
- 使いやすい管理画面
- 高品質
- 価格がやや高め
- 1サイト1ライセンス
- テーマ数は少なめ
8. Elegant Themes(Divi)
ページビルダー サブスク 使い放題概要
人気のWordPressテーマ「Divi」を提供する会社。サブスクリプションで全テーマ使い放題です。
特徴
- Diviビルダー:ビジュアルページビルダーで簡単編集
- サブスク制:年額$89で全テーマ・プラグイン使い放題
- 無制限サイト:複数サイトで利用可能
- 豊富なレイアウト:2,000以上のプリメイドレイアウト
- 定期更新:継続的なアップデート
料金
- 年額プラン:$89/年(約13,000円/年)
- 買い切りプラン:$249(約37,000円)
- ※無制限のサイトで使用可能
- 使い放題でコスパ良い
- ページビルダーが使いやすい
- 複数サイトで利用可
- レイアウトが豊富
- サブスク(年額課金)
- 英語サイト
- やや重い
4. テンプレートのカスタマイズ方法
テンプレートを選んだ後は、自社のブランドに合わせてカスタマイズすることが重要です。
4-1. 基本的なカスタマイズ項目
| 項目 | 内容 | 難易度 |
|---|---|---|
| ロゴ・画像の変更 | 自社のロゴや写真に差し替え | 易しい |
| カラー変更 | ブランドカラーに変更 | 易しい |
| テキストの変更 | 会社情報やサービス内容を記入 | 易しい |
| フォントの変更 | ブランドに合うフォントに変更 | 普通 |
| レイアウト調整 | セクションの追加・削除・並び替え | 普通 |
| メニュー構成 | ナビゲーションメニューの編集 | 普通 |
| CSS編集 | 細かいデザインの調整 | 難しい |
| 機能追加 | お問い合わせフォームなど機能追加 | 難しい |
4-2. WordPressテーマのカスタマイズ手順
- テーマのインストール
- WordPress管理画面 > 外観 > テーマ
- 「新規追加」または購入したテーマをアップロード
- テーマを有効化
- カスタマイザーで基本設定
- 外観 > カスタマイズ
- サイトタイトル、ロゴ、カラーなどを設定
- リアルタイムプレビューで確認しながら編集
- デモコンテンツのインポート(任意)
- 多くのテーマはデモデータを提供
- ワンクリックでデモサイトを再現
- その後、自社の情報に差し替え
- コンテンツの編集
- 固定ページや投稿を編集
- テキスト、画像を自社のものに変更
- 不要なページは削除
- プラグインの設定
- お問い合わせフォーム(Contact Form 7など)
- SEO対策(Yoast SEOなど)
- 必要に応じて機能を追加
4-3. HTMLテンプレートのカスタマイズ手順
- テンプレートのダウンロードと解凍
- zipファイルをダウンロード
- 解凍してフォルダを確認
- ローカル環境で開く
- index.htmlをブラウザで開いて確認
- テキストエディタでコードを開く
- テキストと画像の変更
- HTMLファイルのテキストを編集
- imagesフォルダの画像を差し替え
- CSSでデザイン調整
- cssフォルダ内のファイルを編集
- カラー、フォントサイズなどを変更
- サーバーにアップロード
- FTPソフトでサーバーに接続
- すべてのファイルをアップロード
- ブラウザで確認
4-4. カスタマイズのコツ
- 段階的に変更:一度に大きく変えず、少しずつ変更して確認
- バックアップを取る:変更前に必ずバックアップ
- テスト環境を用意:本番環境で直接編集しない
- ブラウザで確認:複数のブラウザ、デバイスで表示確認
- スマホ対応を確認:必ずスマートフォンでも確認
- ページ速度をチェック:画像サイズなどを最適化
5. 業種別おすすめテンプレート
業種ごとに最適なテンプレートの特徴を紹介します。
| 業種 | 重視すべき要素 | おすすめテンプレート |
|---|---|---|
| コーポレート | 信頼感、プロフェッショナル、シンプル | Avada、SOLARIS(TCD)、Astra |
| 飲食店 | 写真映え、予約機能、メニュー表示 | FAMOUS(TCD)、OceanWP、Rosa |
| 美容・サロン | エレガント、写真大きく、予約機能 | BLOOM(TCD)、Divi、Hestia |
| 不動産 | 物件検索、地図表示、写真ギャラリー | Houzez、RealHomes、GENSEN(TCD) |
| 医療・クリニック | 清潔感、安心感、診療案内明確 | Health Care、Medicare、Neve |
| 士業 | 信頼感、専門性、実績表示 | Avada、GeneratePress、SOLARIS(TCD) |
| ECサイト | 商品表示、カート機能、決済 | Flatsome、Porto、Astra(Pro) |
| ポートフォリオ | 作品映え、ギャラリー、シンプル | Oshine、Kalium、STUDIO |
| ブログ・メディア | 読みやすさ、記事一覧、SNS連携 | GeneratePress、Newspaper、Astra |
6. 注意点
テンプレートを使用する際の重要な注意点をまとめます。
6-1. ライセンスの確認
- 商用利用:ビジネス目的で使用できるか
- 複数サイト:複数のサイトで使用できるか
- クレジット表記:制作者のクレジット表記が必要か
- 再配布:第三者への配布は禁止されているか
- 改変:デザインの改変が許可されているか
- サポート期間:サポートの期間と範囲
6-2. セキュリティとアップデート
- 定期的なアップデート:テーマやプラグインを最新版に保つ
- セキュリティチェック:脆弱性がないか確認
- 開発者の信頼性:継続的に開発されているか
- レビュー確認:他のユーザーの評価を参考に
6-3. パフォーマンスの確認
- ページ速度:表示速度が遅くないか
- 不要な機能:使わない機能が多すぎないか
- 画像最適化:画像サイズを適切に圧縮
- モバイル対応:スマホでの表示速度も確認
6-4. SEO対策
- 構造化データ:検索エンジンに理解しやすい構造か
- ページタイトル・説明文:適切に設定できるか
- 画像のalt属性:画像に説明文を付けられるか
- パンくずリスト:ナビゲーション構造が明確か
6-5. 著作権と法的問題
- 画像の著作権:デモ画像は使用できない場合が多い
- フォントのライセンス:商用利用可能なフォントか
- アイコン・イラスト:ライセンスを確認
- 利用規約の遵守:テンプレートの利用規約を守る
7. まとめ
ホームページ制作テンプレートの活用方法を詳しく解説してきました。最後に重要なポイントをまとめます。
テンプレート選びの結論
- 無料で始めたい → WordPress公式、HTML5 UP
- 高品質・サポート重視 → ThemeForest、TCD
- 複数サイトで使いたい → Elegant Themes(Divi)
- 日本人向け → TCD、日本語対応テーマ
成功のための5つのポイント
- 目的に合ったテンプレートを選ぶ:業種、機能、デザインが合うものを
- ライセンスを確認:商用利用、複数サイト利用の可否
- カスタマイズする:そのまま使わず、自社のブランドに合わせる
- 画像を差し替える:デモ画像は使用不可、自社の画像を使う
- 定期的にアップデート:セキュリティとパフォーマンスを保つ
テンプレート vs プロに依頼
| 項目 | テンプレート | プロに依頼 |
|---|---|---|
| 費用 | 無料〜数万円 | 30万円〜 |
| 制作期間 | 数日〜数週間 | 1〜3ヶ月 |
| 独自性 | 低い | 高い |
| カスタマイズ | 制限あり | 自由 |
| サポート | 限定的 | 充実 |
- テンプレートが向いている:予算を抑えたい、すぐに公開したい、標準的な機能で十分
- プロに依頼が向いている:独自性を重視、複雑な機能が必要、ブランディング重視
テンプレートで始めて、成長に合わせてプロに相談
まずはテンプレートで始めて、ビジネスが軌道に乗ったらプロに依頼してリニューアル——これも一つの賢い選択です。余日(yojitsu)では、既存サイトのリニューアルも承っております。
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参考文献・テンプレート配布サイト
本記事で紹介したテンプレート配布サイトの公式情報を参照しています(2024-2025年):
- 無料テンプレート配布サイト
- WordPress Official Themes
https://ja.wordpress.org/themes/ - HTML5 UP
https://html5up.net/ - Colorlib
https://colorlib.com/ - BootstrapMade
https://bootstrapmade.com/
- WordPress Official Themes
- 有料テンプレートマーケットプレース
- ThemeForest
https://themeforest.net/ - TemplateMonster
https://www.templatemonster.com/ - TCD(日本語高品質テンプレート)
https://design-plus1.com/tcd-w/ - Elegant Themes
https://www.elegantthemes.com/
- ThemeForest
- 技術リファレンス
WordPress Codex、W3CのWeb標準を参照