Webサイトは「作ること」が目的ではなく、「成果を出すこと」が目的です。しかし、多くの企業が「デザインが綺麗なサイトを作ったのに、問い合わせが来ない」「お金をかけたのに売上につながらない」という悩みを抱えています。
本記事では、企画から公開まで、成果の出るWebサイト制作の全プロセスを徹底解説します。デザインだけでなく、戦略・設計・運用まで、実践的なノウハウをお伝えします。
「成果の出るWebサイト」とは?
成果の出るWebサイトとは、ビジネス目標を達成できるサイトです。
ビジネス目標の例
| 業種 | ビジネス目標 | サイトでの成果指標 |
|---|---|---|
| BtoB企業 | 新規顧客獲得 | 資料請求数、問い合わせ数 |
| EC企業 | 売上向上 | 購入数、購入単価、リピート率 |
| 店舗ビジネス | 来店客数増加 | 予約数、電話問い合わせ数 |
| 採用サイト | 応募者獲得 | エントリー数、説明会参加数 |
| メディアサイト | 広告収益 | PV数、滞在時間、広告クリック数 |
「綺麗なサイト」と「成果の出るサイト」の違い
| 項目 | 綺麗なサイト | 成果の出るサイト |
|---|---|---|
| 優先事項 | 見た目のデザイン | ユーザーの行動(CV) |
| 制作プロセス | デザインから開始 | 戦略・目標設定から開始 |
| コンテンツ | 企業が伝えたいこと | ユーザーが知りたいこと |
| 公開後 | 作って終わり | 継続的に改善 |
成果の出るWebサイト制作の7ステップ
成果を出すには、正しいプロセスで制作することが重要です。
ステップ1:目的・目標の明確化
最も重要なステップです。「何のためにサイトを作るのか」を明確にします。
設定すべき項目
- ビジネス目標:売上増加、認知拡大、採用強化など
- 定量目標(KPI):月間問い合わせ10件、CVR 3%など
- ターゲットユーザー:誰に向けたサイトか
- 競合との差別化ポイント:自社の強みは何か
悪い例と良い例
❌ 悪い例:「おしゃれなサイトを作りたい」「競合もリニューアルしたから」
✅ 良い例:「月間問い合わせを現在の5件から20件に増やす。ターゲットは大分県内の中小企業経営者。価格の安さではなく、実績と丁寧なサポートで差別化する」
ステップ2:ターゲットユーザーのリサーチ
ユーザーを深く理解することが、成果につながるサイト設計の鍵です。
リサーチ方法
- 既存顧客へのヒアリング:なぜ自社を選んだか、何を重視したか
- 営業・カスタマーサポートへのヒアリング:よくある質問、顧客の悩み
- 競合サイト分析:競合はどんな訴求をしているか
- Google検索の「他の人はこちらも検索」:ユーザーが求める情報
- SNS・口コミサイト:業界に対するユーザーの本音
ペルソナ設定
リサーチ結果をもとに、具体的なペルソナ(典型的なユーザー像)を作成します。
例:BtoB SaaS企業のペルソナ
「田中太郎さん、38歳、中小製造業の営業部長。Excelでの顧客管理に限界を感じており、SFA/CRMツールを探している。ITに詳しくないため、使いやすさとサポート体制を重視。予算は月5万円以内」
ステップ3:サイト構造の設計
ユーザーが迷わず目的の情報にたどり着ける構造を設計します。
基本的なサイト構造(BtoB企業の例)
トップページ
├─ サービス(主要ページ)
│ ├─ サービスA詳細
│ ├─ サービスB詳細
│ └─ 料金プラン
├─ 導入事例(信頼性)
├─ 会社概要
├─ お知らせ・ブログ(SEO対策)
└─ お問い合わせ(CV)
サイトマップ作成のポイント
- 3クリック以内の法則:トップから3クリック以内で全ページにアクセス可能に
- グローバルナビゲーション:主要ページへのリンクを常に表示
- コンバージョンへの導線:どのページからも問い合わせに誘導
ステップ4:ワイヤーフレーム作成
ワイヤーフレームとは、ページのレイアウトを示す設計図です。デザインに入る前に、情報配置を決めます。
ワイヤーフレームで決めること
- ヘッダー、フッターの要素
- 各セクションの配置順序
- CTA(行動喚起)ボタンの位置
- 画像・テキストの配分
トップページの基本構成
- ファーストビュー:キャッチコピー + メインビジュアル + CTAボタン
- サービス概要:何ができるか(3〜4項目)
- 選ばれる理由:競合との差別化ポイント
- 導入事例・お客様の声:信頼性の証明
- サービス詳細:各サービスへのリンク
- 料金:明確な価格表示
- よくある質問(FAQ):不安の解消
- お問い合わせ:最後の後押し
ツール
ステップ5:デザイン制作
ワイヤーフレームをもとに、ビジュアルデザインを制作します。
デザインの基本原則
1. シンプルであること
情報を詰め込みすぎず、余白を十分に取ることで、重要な情報が目立ちます。
2. 視覚的階層
見出し、本文、ボタンなどのサイズ・色・配置で優先度を明確にします。
3. 一貫性
フォント、色、ボタンのスタイルなどを全ページで統一します。
4. レスポンシブデザイン
スマホ・タブレット・PCすべてで快適に閲覧できるデザインにします。詳しくは「レスポンシブWebデザインの基本」をご覧ください。
配色の選び方
色は3色以内(ベース・メイン・アクセント)に抑えるのが基本です。
- ベースカラー(70%):背景色(白、グレーなど)
- メインカラー(25%):企業のブランドカラー
- アクセントカラー(5%):CTAボタン、重要な情報
フォントの選び方
- 和文:Noto Sans JP、游ゴシック、ヒラギノ角ゴ
- 欧文:Roboto、Open Sans、Lato
- 種類は2〜3つまでに抑える
ステップ6:コーディング・実装
デザインをHTML/CSS/JavaScriptで実装します。
実装のポイント
- セマンティックHTML:適切なタグを使う(
<header>、<nav>、<article>など) - レスポンシブ対応:メディアクエリで画面サイズごとに最適化
- ページ速度:画像圧縮、不要なJavaScriptの削減
- アクセシビリティ:alt属性、キーボード操作対応
- SEO対策:タイトルタグ、メタディスクリプション、構造化データ
CMSの活用
更新頻度が高い場合は、CMS(コンテンツ管理システム)の導入を検討します。
| CMS | 特徴 | 向いている用途 |
|---|---|---|
| WordPress | 世界シェアNo.1、プラグイン豊富 | ブログ、コーポレートサイト |
| Shopify | EC特化、決済機能が充実 | ECサイト |
| Wix/Jimdo | ノーコードで簡単 | 小規模サイト、個人事業主 |
| Webflow | デザイン自由度が高い | デザイン重視のサイト |
ステップ7:テスト・公開
公開前に、徹底的にテストします。
チェック項目
- 動作確認:リンク切れ、フォーム送信、スクロール動作
- クロスブラウザテスト:Chrome、Safari、Firefox、Edgeで確認
- デバイステスト:iPhone、Android、タブレット、PCで確認
- ページ速度:PageSpeed Insightsで測定
- SEO設定:タイトル、メタディスクリプション、OGP設定
- アナリティクス設定:Google Analytics、Google Search Console
公開後の運用が成果を決める
Webサイトは「公開して終わり」ではありません。継続的な改善が成果につながります。
1. アクセス解析
Google Analyticsで以下を確認します:
- PV数:どのページがよく見られているか
- 流入経路:オーガニック、SNS、広告、直接アクセスの割合
- 直帰率:1ページだけ見て離脱した割合(低いほど良い)
- コンバージョン率:目標達成率
2. ヒートマップ分析
ユーザーがページのどこをクリック・スクロールしているかを可視化します。
- Hotjar(有料、無料プランあり)
- Microsoft Clarity(無料)
3. A/Bテスト
2つのパターンを比較し、効果の高い方を採用します。
テストすべき要素:
- キャッチコピー
- CTAボタンの色・文言
- メイン画像
- フォームの項目数
4. SEO対策
検索エンジンからの流入を増やすため、継続的にSEO対策を行います。
- ブログ記事の定期更新:週1〜月2回の更新
- 既存記事のリライト:情報を最新化
- 内部リンクの最適化:関連記事同士をリンク
詳しくは「SEO対策完全ガイド」をご覧ください。
5. コンテンツマーケティング
ユーザーにとって価値あるコンテンツを継続的に発信します。
- 業界トレンド解説
- ノウハウ記事
- 導入事例・インタビュー
- よくある質問への回答
成果の出るWebサイトの成功事例
事例1:BtoB SaaS企業(リニューアル)
課題:サイトが古く、問い合わせが月3件程度
施策:
- ターゲットを中小企業に明確化
- 導入事例を5件→20件に増加
- 料金を明確に表示
- 無料トライアルのCTAを全ページに配置
- ブログでSEO対策(週1更新)
結果:6ヶ月後、月間問い合わせが3件→25件に増加、オーガニック流入が5倍
事例2:地域密着型サービス(新規構築)
課題:認知度が低く、電話問い合わせが少ない
施策:
- 「大分 ○○」でSEO対策
- Googleビジネスプロフィール最適化
- お客様の声を動画で掲載
- 電話番号を大きく表示(ヘッダー固定)
- LINEからの問い合わせ導線を追加
結果:3ヶ月後、月間問い合わせが0→15件、予約サイトへの誘導が成功
事例3:ECサイト(リニューアル)
課題:アクセスはあるが購入率(CVR)が低い(0.8%)
施策:
- 商品画像を1枚→5枚に増加
- レビュー機能の追加
- カート放棄対策(リマインドメール)
- 決済方法を追加(後払い、Apple Pay)
- ページ速度を3秒→1秒に改善
結果:CVRが0.8%→2.3%に改善、売上が2.9倍に
Web制作でよくある失敗と対策
失敗1:目的が不明確
❌ 失敗:「とりあえずおしゃれなサイトを作ろう」
✅ 対策:KPI設定(月間問い合わせ20件など)を明確に
失敗2:ユーザー視点の欠如
❌ 失敗:「会社の歴史」「代表挨拶」がトップページの大半を占める
✅ 対策:ユーザーの知りたい情報(サービス内容、料金、実績)を優先
失敗3:スマホ対応が不十分
❌ 失敗:PC版は綺麗だがスマホで見づらい
✅ 対策:モバイルファーストで設計、デバイステスト徹底
失敗4:ページ速度が遅い
❌ 失敗:大きな画像を大量に使い、読み込みに5秒以上
✅ 対策:画像圧縮(WebP形式)、不要なスクリプト削除
失敗5:公開後に放置
❌ 失敗:公開して1年間何もしない
✅ 対策:月1回は分析、ブログ更新、改善を継続
Web制作の費用相場
| サイト種類 | 費用相場 | 制作期間 |
|---|---|---|
| LP(ランディングページ) | 10〜50万円 | 2週間〜1ヶ月 |
| コーポレートサイト(小規模) | 30〜100万円 | 1〜2ヶ月 |
| コーポレートサイト(中規模) | 100〜300万円 | 2〜3ヶ月 |
| ECサイト | 50〜500万円 | 2〜4ヶ月 |
| オウンドメディア | 100〜500万円 | 3〜6ヶ月 |
費用は、ページ数、機能、デザインの複雑さ、CMSの有無などで変動します。
まとめ:成果を出すために最も重要なこと
成果の出るWebサイト制作で最も重要なのは、「ユーザーファースト」の姿勢です。
成果を出すための7つのポイント
- 明確な目的・KPI設定:何のためにサイトを作るのか
- 徹底的なユーザーリサーチ:ペルソナを具体的に
- シンプルで分かりやすい設計:迷わせない導線
- レスポンシブデザイン:すべてのデバイスで快適に
- ページ速度の最適化:3秒以内の読み込み
- SEO対策:検索エンジンからの流入を増やす
- 継続的な改善:データを見て仮説検証を繰り返す
Webサイトは「作ること」ではなく「成果を出すこと」が目的です。公開後の運用こそが、成功の鍵を握っています。
関連記事
外部参考リンク
- Web.dev - Googleのパフォーマンス・アクセシビリティガイド
- Nielsen Norman Group - UXリサーチとユーザビリティ
- Smashing Magazine - Webデザイン・開発の最新情報
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